―屋上―
まだまだ、こんなの、か……。
うん、わかった。がんばってね。
[本当は「もういいんだよ」と声を掛けてあげたかった。
でも、きっとそれはアズマの役目ではない。
宮町の自立心が好きだから、彼女自身が自分でふんぎりをつけるまで、口出しはしたくなかった。]
[そうしてお礼合戦をしたあと。彼女は「もう行かなきゃ」と口にした。
自分ためにしていたことが、相手のためにもなり、そして喜んでもらえる。
何か素晴らしいものを受け取った気がした。]
うん、何かあったら、おしゃべりしに、行こうかな。
それに、階段上り下りするのも、なんか、スッキリできて、良いし。
[そう言って、一段登って姿を消した彼女に手を振った。
今はもう少し屋上にいたかったから、隣に並んで歩くのはまた後ででいい。
きっとこれから―これが良いことなのか残念なことなのかはアズマにはわからないが―いくらでも機会はあるのだから。]