[深緑を半ばまで伏せて。ぽろん、ぽろんと鳴かせていると、スッと風が通り過ぎた。白い花のように積もっていた雪が、ひらり、ふわり、光の中に舞い上がるのを見る]……ああ。[一度弦から弓を離して。息を吸い込むと静かにまた滑らせた]―Ich tanze sachte leicht und werde zerstreut.―[小声の歌として聞き覚えた曲だった。歌詞をきちんとなんて覚えていない。けれど。この音は、旋律は、とても心に響いて。憶えていた]