─卒業式・前夜─
ごめんねゆー君、荷物持たせて。
[明日はもう卒業だという日に幼馴染にあることを頼んだ。
2人、バスケットや水筒、茣蓙に毛布を持って階段を上って。
最後の扉を開ければ、そこに広がったのは夕から夜に変わっていく空があった。
春先とはいうものの、空気はまだ肌寒く吹く風も冷たい。
屋上の床に茣蓙を敷き、その上に毛布を敷いて座り、バスケットから2人分とは思えない量のサンドイッチや紙コップを出して。
あの日の遠く澄みきった空よりも霞がかったそこに、徐々に星が浮かんでいくのをただ、幼馴染と眺めた。
お願いしたことは、ただ、今夜ここで星を眺めてほしい、それだけ。]
…こうしてね、一緒に空を、見てみたかったの。
皆、と。