―― いつの日か ――
[階段上る。淡々と上る。
生きてる生徒の群れに混じって、上る。
羨ましいなと思うことも多かったけれど、そのうち慣れた]
[自分がいなくなってもあまり変わることの無い友人達。
やっぱりなあ、と苦笑した]
[そんな日々の中、自分と同じ、死者の人影見つけた。
森先輩じゃない。あの日、自分を階段から突き落とした人影]
[足を止めて、手すりにつかまって、真っ直ぐ見つめた。
まだ近寄ることはしにくいけれど、でも、もう恨みをこめて、悪霊ぶった態度で接することは無い。死んだのが無念で悔しくなくなったわけじゃない。でも、自分も殺した。殺したから、殺された。マリーよりは理不尽な死じゃなかった]
……………
[ぺこりと会釈して、また階段を上りはじめた。今はまだ頭を下げるだけ。きっともっともっと時間がたてば、そこに笑顔も乗るだろう。だって、日々新しい生徒が入ってくる学び舎でずっと変わらない顔は限られている*]