『そう、瑠璃の呪い。ずっと昔から伝えられている、力。
お前にも、同じ力が引き継がれているから……使い方を、教えておかないとね』
[そう言いながら、父は笑った。
いつもと変わらないけれど、いつもとどこか違う──そんな笑顔。
その違いの意味は、その時には気づく由もなく。
十の夏。
仕事で遠方に赴くという父を、吊り橋の袂で母と共に見送った]
『……なるべく、早く帰ってくるから。
その間、母さんを頼むよ、アーベル』
[別れ際、父は笑顔で頭を撫でながら、こう言って。
自分はそれに、元気良く頷いて──]