―山頂―
[声は聞こえるのかもしれない。
と、ベッティの言葉を聞いて思いつつ、手を伸ばす。
見えないだろうけれど、髪をなでようと。
触れられないだろうけれど、ほんの少し、空気が動いて。
皆への決意の言葉に、そっと笑った。]
ベッティがいつもみたいに笑って、料理を作っているのが好きだよ。
美味しい料理を食べられないのは、残念だけど。
(僕のことを忘れてくれていいけれど)
[言葉には出さずに、そっと思って。
零れてゆく記憶も、精神も、ぜんぶ感じながら。
別れの言葉は、心の中に留めた。]
(バイバイ)