―個室e―
[少女の収容されていた部屋。
そこに横たえられた、傷つき、それ以上に憔悴した感もある姿に眉が寄る]
これじゃ、戻りたくもなくなるというものか。
悪い、もう少し我慢してくれ。
[微妙なブレが生じて来ている意識を引き締める。
瞳は暗紅から紅紫、躑躅へと。薔薇を抜け紅、そして緋色に染まる]
―― Ion wickelt es ein.
[制御を補助するために言葉として動作を指定する。
リーチェの身体を磁場で包みこみ、ゆっくりと浮かび上がらせて]
…どうか、間に合ってくれ。
[教えられた姫君の事も。そしてこの少女のことも。
その場で他にできるのは願うこと位しかなかったから。
小さく呟くと磁場を支えたままエレベーターの方へと*歩き出した*]