[護りたいと願った、一番最初の存在。
それは、グリフォンとしての役目を任されて間もなかった頃のこと。
魔力を抑える術と人化の術を覚えたばかりで、人の姿を保てる時間は短くて。
それでも折角人の姿になれるのだしと、人の世界に初めて降りた所を目撃されたのが彼女との始まりだった。
人の姿ではあれど、空から降りてきた自分に怯えるでも戸惑うでもなく。
空が飛べるなんてすごい、と目を輝かせる彼女の笑顔がそれまで見てきたどんな宝よりも美しく見えて。
それから何度も、彼女に会いに地上へと降りた。
けっして見目が美しいわけではなかった、けれど彼女を知れば知る程その美しさに心を惹かれて。
ずっと自分の傍に居て欲しいと願ったのは、ある意味当然だったのかもしれない。
けれど、その願いは。
受け入れられはしなかった。]