『貴方のことは好き。
でも、貴方は、私と違う世界の人だから。』
[共に、と望んで返されたその言葉の意味が解らず、どうして、と問うた。
好きなら一緒にいられるはずだと思ったけれど、何度願っても頷いてはくれなかった。
そうこうしている内、人化したままでいられる時間が切れて、彼女の目の前で本来の姿になってしまって。
その時の彼女の瞳に、怯えが走ったのを見た時。
胸に過ぎったのは怒りでも絶望でもなく、悲しみだった。
愛しくて、護りたくて、傍にいたいと思ったのに。
ほかでもない自分自身が彼女を怖がらせてしまったことが、悲しかったから。
もう怖がせたくないと、二度と彼女の前に姿を見せることはせず、ただ遠くから見守って。
人とは流れる時間が違うということと、置いて行かれる痛みというものを知った。]