[ゼルはどういう反応をしただろうか。戸惑われているかもしれないし、どうした、と聞かれたかもしれない。泣き止んだのはそれほど長くない時間で、目元を拭うとゼルを見上げ、ごめんね、とありがとうを言ってそっと身体を離した。]あの、ね。ゼルの言う通りだったよ。お兄ちゃん、ずっと見守ってくれてたんだ。[そういって、微笑んだ。兄はきっと、もう、心残りはないのだろう、そんな穏やかな声だった。だから、哀しくはない。そう、*心から思えた。*]