─ 過去・上空 ─
…違う世界って、こういう意味だったんかな。
[空の上から地上を見下ろして、そこで行われているソレを見ながら独りごちる。
ずっと見守り続けて、少女から女性へと変わっていくのを見て。
年を重ねた分、皺が刻まれる顔や肌は、それでも綺麗だと思ったけれど。]
…俺は、あの頃とぜんっぜんかわんねーもんな。
[互いが過ごす時の流れが違うことがはっきりと、互いの姿に示されていた。
結局、あれから一度も会いに行くことはできなかったから、彼女の真意など分かりはしないけれど。]
…怖がらせたこと、謝りたかったな。
[もう、話すら出来ないんだな、と。
地上で黒い服を着た人間達が進める儀式を、見下ろしたまま思った。]