――……あれは、最悪な場所だよ。 人殺しの為に、狼を飼い馴らしていた。[月明かりの注ぐ一室。誰も居ないその部屋での呟きは、らしからぬ静かな激昂だった。背が冷えた。ものがたりのための言葉だろうと思わなければ、足音を立てて逃げ出さずには居られなかっただろう。一時蓋をして、それを今あけるなら、作家と狼の関係が見える気がした]