……逃げる、っすか……?
[冷却モードとかいう言葉が聞こえた気がする。
距離を離そうとするシャロンに追い縋ろうとするも、こちらも怪我の痛みの所為か、動きは幾分鈍い]
へへっ……。機械でも疲れたりするんすね……びっくりしたっすよ……
[ぱりん、かしゃん。踏んでもいないのに鳴るガラスの音。
それがガラスのひとりでに砕ける音だと、果たしてシャロンは気付いただろうか]
機械の強さは、痛いほど良くわかったっす。
でも、人間にはない弱点だって、機械にはあるっすよ――
[きし、きしきし。ガラスの擦れ合う微かな音。
少女の周囲には、砂と化したガラスが渦を巻いていた。
そしてそれは、意志を持った嵐の如く、シャロン目掛けて殺到する]