─夜の森─[しん、と静まり返った黒の静謐。月光の照らす白い雪の山。その前に佇む人影が零す息が、白くしろく、黒に溶けてゆく]……約束、だし、な……。[小さな花を目印にした雪山は、荒らされた様子もなく、そこにあり。静かに、月光を弾いていた]待たせて悪かったな……寒かったろ。んじゃ、行くか?[雪を払いのけ、ねむる銀狼をそっと抱え上げる。月光を受け、煌めく、銀。それは美しく見えた]