[月のひかりの照らす森を、ゆっくりと歩く。森の弔いに標はない。だから、求める場所かどこかは、記憶が頼り、なのだけれど。現実の感覚と、緋色の感覚と。それらが交差し、導いたのか]確か……この辺り、だっけ?[森の、奥まった一画。一見すると何もないそこは、月のひかりに照らされて。しかし、そこは抱えてきた銀狼の──妹のように可愛がっていた、もう一人の少女の家族の眠る場所。決着がついたら、連れてくると。そう、約束した場所だった]