―それはエピローグが始まったすぐのこと?―
[出来れば、彼女には会わずに。
出来れば、その場には向かわずに。
成仏というものがあるのならば、しようと思っていた。]
―――……。
[それでも、その場――自らの命が奪われた階段に向かったのは、きっと向かわなければ後悔をすると、悟っていたからだ。]
ハルエ
……――Good Luck!
[謝る言葉に暫く考え込み、かけた言葉はそれだけ。
恨みがないわけではないけれど。
aquamarineのような瞳を細めて微笑んだ。
亡くなった母親の教え通りに、いつだって前向きに。
もう、それこそaqua(水)のように透明な存在に使くなれば、座り込むハルエにはその姿は見えなかったかもしれない。でも、いつか放った言葉が心に届けばよいと思う。
また、歩きだすハルエの後ろ姿を見送って、マリーもまた踵を返した。]