先手必勝、いっきまーす!
[合図とともに手を前に突き出して、精神集中。
いつもは下がり気味の眉が きゅっ と持ち上がります。]
水の乙女、
水が齎すは恵みのみならず。
今一時、その力を我が元に――
‥‥‥あれ、なんだっけ。とにかく、力を貸して!
[緊張いっぱいで、構文通りになんて出来っこないのでした。
それでも通じるのは、精霊魔法だからなのでしょうね。]
いっけぇ、あの杖、邪魔しちゃえっ!
[手の先に生まれる、赤ん坊くらいはありそうな水の塊。
宙に浮かぶそれは、水というより ぶよぶよしたスライム。
勢いをつけ、ヘルムートへ向かって一直線に飛んでいきます。
触れたらきっと、纏わりついて離れないに違いありません。]