違うわ。
蒼花を宿していた彼女は、祝福なんかじゃなくて呪いだって言っていた。
ゼルだって、力のせいで、苦しんでた。したくないことをした。
それに、あなた達だって、今、その子のことを認めない。
そんなの、フォルカーちゃんだけじゃない、エーファちゃんだって、報われない。
祝福なんかでもなんでもない…!
[そういっても、聞く耳すら持ってもらえなくて。
結局、彼女を連れていく彼らの背中を見送るしか無かった。
自分の無力を、ただ、噛み締めて。
その後、今回の犠牲になった彼らと、原因となった人狼の遺体は自衛団が宿から運び出していって。
自分もヴァルターやアーベルと共に屋敷へと戻っていった。
屋敷に戻った後、一番最初にしたことは、父に対して手紙を送ること。
自分が人狼の「場」に組み込まれたこと、そして生き残ったこと、婚約を取りやめて欲しいこと。
それらを認めた手紙の返事は、早く、そして、簡素なものだった。]