人狼物語 ─幻夢─

23 桜花散華─闇夜に散るは紅吹雪─


小説家 榛名

[すぐ傍で聞こえる困惑の声。ハッとして、ようやく己が口にした言葉に気付く。言わないつもりだった、言葉。謝ろうと口を開きかけたが、それは言葉とならなかった。代わりに出てきたのは]

………分かってる。
史人に、想う、相手が、居るのは。
ずっと、見てたもの、史人のこと。

今も、その想いが、残ってるのも、分かってる。
……けど、私も、ずっと、想ってた。

史人の、ことを──。

[逡巡の後に出てきたのは想いを伝える言葉。今までの榛名であれば、何でもないと言葉を濁すはずだったが、何故か、言わなければならないと言う感覚を覚え。気付けば口に出していた]

……ずっと、言うつもりは、無かったのに、な。
何で、言っちゃったんだろ。

[史人の顔を見ないように俯いたまま、ぽつりと小さく漏らした。もしかしたら、今は亡き幼馴染がとんと背中を押したのかもしれない]

(1167) 2008/05/25(Sun) 04:24:41

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