[炎に包まれた魔人は本来の姿である炎の化身へと変わります。
そして、火柱の中で大きく口を開け――身を包む炎の全てをゴクリと飲み込んでいきました。]
ゴフッ ・・・これだけあれば十分か
ぐ・・・うっ!
[真っ赤な舌で唇を舐め終えた魔人が、顎に力を込めます。
すると綺麗に塞がれていた筈の傷口から炎が噴出し、絡み合って腕の形をとりました。まとわりつく煙はむき出しの腕を包み、元の黒い服へと変わっていきます。
そうして屋敷天辺の煙がはれた後には、元通りになった魔人の姿がありました。
もしも、火柱が上がった瞬間を上空から目撃していたならば、
ケーキな屋敷に火柱の蝋燭が立ったように見えたでしょう。**]