んやぁ、はごぶのぁ大したごどねっぺ。
郷(さと)だら網とはごぶてづでもしてらぉん。
網ぁ意外と重いはんで、そぃさくんらべりゃ軽ぃ───。
[訛り全開の言葉はローザに伝わったどうか。笑いながら返していたところでローザの顔が近付いて来て。座っていたために高さが丁度良かったのか、額に柔らかいものが触れた]
───ぉ?
[それを認識しての硬直は(08)秒程。開かれた隻眸の先に珍しい照れは見えたかどうか。それを見ていたティティエンが目を丸くしていたが、その隙に鼻先へもローザの唇は触れていた。呆けている間にもローザは教室の出入り口へと向かう]
───……て、ぁ、ローザ!
今度おれん郷(さと)さ来ねが!?
こぢの海のごどしかへるはんで、おめが居だ海のごども、聞きて。
[傍から離れて行く背に、椅子から立ち上がりながら慌てて声をかけた。大きな声だったからしっかりローザにも届いたようで、振り返った顔には満面の笑みが見える。承諾の返事を貰うと、「まんだな」とこちらも笑顔で手を振りローザを見送った]