[空間を繋げたとかそこら辺を気にしなかったのは、多分、生まれ育った環境のせい。
10代の半分くらいを過ごした学院では、何もないところから突然何かが現れるとか当たり前だったから、妙に慣れていたりした]
……んー。
[扉の如く開いた入り口から別の場所へ踏み込み、太刀に手をかける。
鞘にくくりつけた、淡い朱色の鱗らしきものが、揺れた]
リュビ、下がってろ。
『……にーさん、へーき?』
食い物にやられるほど、落ちぶれちゃいねぇ。
『それ、真顔で言う事ちゃうんか……』
[なんて突っ込みを飛ばしつつ、黒猫妖精、肩から降りて空間の境界線まで退去した。
それを確かめると太刀を抜き放って左手に提げ。
右手で、ポケットから銀色に光るカードを取り出した]