―数年後―[田舎町の小さな書店。表に寝そべっていた猫が、1人の来客に頭を擡げる。無口な店主は少し顔を上げてその顔を見、すぐにまた新聞に目を落とした] ……。[客は構わず店内を見て回り、やがて一冊を手に取る。少し前に出版されたその本は、或る島で起きた人狼騒動の『物語』。未完のまま終わる話に、その結末が如何なるかを想像し、語り合う者もいたろう。けれど真実を知る者は数少ない。恐らくはそれで良いのだと言うことも、また]