─海辺の空き地─
[掠れた声。一人で、という言葉に、泣きそうになった]
だって、他に、いなかったんだから、仕方ない、よ。
他に……他の誰かじゃ、ダメ、だったんだ、から……。
[声が震えるのが、どうしても抑えられなくて。
至近距離、覗き込む蒼が、ぼやけて見えた]
……アーベルじゃなきゃ、や、だったん、だもん……。
今更、他のひとなんて、選べない、よ……?
[決めていた事が崩れかけているのはわかっているけれど、今更それを押し止めるなんてできなくて]
……ずっと、ずっと。
好き……だったん、だか、ら……。
[崩れたところから。
言わないと決めていた言葉も、零れ落ちていた]