それから、もいっちょ。
ほい、これ。
[そう言ってあたいはポケットの中に入れといた種をゼルに見せたんだ。]
林檎の種だ。
芽ぇ出てでかくなって実が生れば、人が来易くなるだろ?
人来なくても、鳥とか動物とかは来るかなーって。
そしたらそんなに退屈しなだろ?
[ゼルギウスに何かするのは駄目でも、ゼルギウスの周りに何かするのは問題ねぇもんな。頭いいなあたい!とちょっと胸張っといた。
そんなわけで、種は泉の近くの土の中に埋めたんだ。
その後であたいは鈴を脇に置いて、一旦珠樹に変わったのさ。
そうそう、前にあの騒動やった時の格好とは一箇所だけ違うとこがある。
背中に薄い、王と女王と似たような羽根がついてた。
まだ飛べねー羽だけど、これが生えててやっと、女王と同じ、生命の属に位置するあたいになるわけだ。
自分で戻るって意識がねぇと、羽根は戻んなかったっぽい。]