―月日は流れて―
[ボクはこの学園の教師になった。もちろん美術のね?
美術部顧問にもなって、もう何年経つかな?]
『露島先生って、結婚してないんですか?』
うん、機会がなくってね。
[美術部の生徒の何気ない質問に、ボクは笑顔で答えて、
それから、目ざとく見つけてきた絵を広げながら]
『昔の恋人かなにかですか?』
まぁ、そんなようなものだよ。
[その絵を見て、ボクはどこか遠く懐かしむように。
いまでもずっと、決して忘れることの無い、その女の子のことを思い出しながら]
『ですよね、ただのモデルさんって感じじゃないですし、それになんかこう、先生の愛がこもってるっていうんですか?』
はは、言うようになったね。それじゃあ今度の絵は愛を込めて描いてもらおうかな?
[ボクは生徒に笑いかけながら、そう冗談めかすように]