―鏡の向こう―
[ボクがいるのは、以前いたのと違う場所、向こう側の世界。
彼女のいるはずの世界、ボクはそこの階段の一番上で、じっと待っていた。
ゆっくりと聞こえてくる足音、少しずつ大きくなる足音。
ボクは手を広げて、その足音が近づくのを待っている、そこがゴールだというように、彼女が切るべきテープとして]
お待たせ、ハルエさん。
[足音はやがて、最後の一段を上り終えて止まり、僕は笑顔でぎゅっと彼女を抱きしめた]
ずいぶん遠回りしたけども、でも、ボクは今すごく幸せだよ。
こうして、やっとキミと会えたから。
[それからそっと、耳元に口を寄せて]
ハルエさんのことが、大好きなんだ。
だから、ボクの恋人になって欲しい。
[彼女の返事を、ボクは静かに*待った*]