─教会・近辺─
[望月の晩から、行く度かの時の巡りを経て。
空には、幾分欠けた月。
それでも、世界を照らすには、まだ十分に明るい──少なくとも、彼に取っては]
…………。
[通い慣れた教会の、すぐ近くの木立の中。
村に程近いここまで出てきたのは、訳がある。
クレメンスから、イレーネが心を閉ざしたような状態になっている、と聞いて。
……いつかに交わした言葉が、ふと思い出されたからか、どうにもそれが気にかかり]
……つうか……どやって声かけるつもりなんだよ、俺。
[つい、突っ走ったものの、そこまでは考えてはおらず。
後先考えない自分への苛立ちを鎮めるためにか、無意識に、歌を口ずさんでいた]