─墓標前─
ああ……そうだったな。
[本当の理由──病の治療と、力の制御を学ぶという事は言わずにいたから。
引き止めようとする言葉に、どう返していこうか、頭を悩ませていた記憶がちらりと掠める]
ん、そうだな。
なんでかんで、帰って来てからゆっくり話すってほとんどなかったし。
[一つ頷き、歩き出そうとして。
一度、猫の方を振り返る。
猫はまだ少し寂しげではあるものの、なぁう、と鳴く声は落ち着いていた。
それに、笑みを向けた後、昔馴染みへと翠を向けて]
……話してない事あるのは……確かだし、な。
[その中には、言うまいと定めていた事もあるのだけれど]