―風呂場にて―
そうだな、このままじゃエーファも俺もいなくなる。
[どうすればいいのか、それを思い浮かべることができない。
自分たちのことを真に知るものは二人いるが、その二人は頼めるような立場の人間でないことくらい、子供の自分でもわかる]
エーファをそこから連れ出すことができるなら、俺はどこへ行くのも…怖くないのに……
[鏡の向こう手を伸ばし、少しでも触れられたらと、あわせる手のひらは硝子越し。
もう片方の手を自分の頬に、首筋に、ゆっくりと下に下ろしていきながら。
触れる肌は、自分のものでしかない]