[朱を流し過ぎたか。先の相殺に力を込め過ぎたか。翼に宿る炎はどこか弱く。その分、防御層も薄くなる。真正面から迫る、先よりも鋭利な相手の刃。構うことなく相手を炎で捲こうとして──貫かれたのはこちらだった]…っ!![自身の勢いと相手の突進、その両方が己が身へと襲いかかる。貫かれたのは右鎖骨の下。上手い具合に骨の間を突き抜けている。獣の動きは止まり、翼の炎も消え、人の腕へと戻っていた]