……ちょっと、待って!
[一転、一方的になった勝負は終わり。
巻き上げられた所持金は全て手元に戻っていた。
余剰分もあったもののそれは手助け料、という事で男に持っていかれたが、正直、それはどうでもよかった。
そんな事よりも、今は。
鮮やか過ぎるカード捌きが焼きついて離れなくて。
どうすれば、そんな事ができるのか──それが知りたくて、隻眼の男の後を追っていた]
『なんだ、坊主? 金の話なら……』
そんなんじゃねぇよっ!
[振り返った男が、面倒そうに言うのを大声で遮るものの。
その先を、どう続ければいいのかわからずに口ごもる。
男は訝しげに隻眼を細め──それから、急にこちらの腕を掴んで道へと転がした]