[仮想の滴を切って迫る刃。
方向は僅か逸らしはしたものの、足を止めるは選ばずに。
脇腹に、熱。
結果として勢いが殺されたのは、幸いだったか、否か。
何にせよ、ユーディットへの一撃は浅い。
地に着いた足を強引に捻り、斜め横に、半ば倒れる形で炎を避ける。髪を焦がす、嫌な臭いがした。]
<炎は天より注ぐ水と交わり、蒸気を生む。
周囲の気温が一時、上がったかの如き感覚。
されど、雨の勢いは先程よりも弱い>
[術者の集中が途切れたが故に。
着弾した炎は、再び、地面を焼く。
彼女自身が駆けて来た方角では――火が、草を焼いていた。]