[それが、博打の師となる人物──ヴィリーとの、馴れ初め。
三人組をのした後、『戦利品』と共に立ち去ろうとする彼を呼びとめ、カードの操り方を教えてくれ、とせがんだ理由は、自分でもよくわからなかった。
……もしかしたら、懐かしい煙草の匂いに引き寄せられただけ、なのかも知れないけれど。
最初は切り捨てようとしたヴィリーだったが、最終的には熱意に折れたのか騒ぎに耐えかねたのか。
滞在中の夕飯を奢る、という事で、カードとダイスの使い方を教えてくれた。
それから、用事が終わるまでの数日の間。
それまで無縁だった世界に触れて。
その事が、外向かう事への渇望を強くしたのは、間違いなかった]