……よっし……できた。
[村に戻った後。父の死後、遠ざかっていた細工の修行を密かに再開した。
理由は、瑠璃の呪具を作るため。
ハービヒトの一族が、代々瑠璃細工師を生業としてたのは、波長の合う呪具を自分で作り出すためだったという。
それを持つ事が何を意味するか、何となく理解はしていた、けれど。
作らなくては、と思ったのは、血のなせる業か。
そうして、一対の瑠璃のダイスを──運命の女神と名付ける事となるそれを作り出したのは、十七の冬の事で。
十八になって迎えた、夏。
宿の自室に『世界を見てくる』という短い書き置きを残した青年は。
自ら作り出した『女神』を伴い、見知らぬ世界へ向けて、走り出す事となる**]