>>1322
[精神の領域に王の声が響いた。若く無邪気にも年経た深淵も感じさせる心の声は全てを見透かして、雨のように降り注いていく。
それらの心話に青年は――青の竜は静かに赤紫の瞳で天を仰ぐ]
『――…全て、ご存知だったのですね。
だからこそ私に随行を命じ、全てを記録せよと仰せられた』
[恨むでもなく淡々と事実を確認し、王の心話を受け止めていく。
そして下された沙汰にも、反論する事なく首を垂れて受け入れた]
『――…御意』
[力尽き動けぬ体は尚も術で縛られており、渇望が剣では果たせぬと知った今、逃げる必要もない。
ただ、オティーリエは無事なのか、それだけが心に過ぎった]