[こちらを向いた顔に、口許が困ったように緩む。まだまだ涙は止まるようには見えない。泣くななんていえるわけもないけれど]……ばか。そんなに泣いていると、腫れるよ。[止める言葉のかわり、そんなことを。それでもすぐに止まるとは思えないから、そっと顔を近づける。贈るのは、触れ合わせるだけの口付けを、ひとつ。わずかに顔をかしげて、そっと重ねると、ほんの少しの距離を置いて目を覗く。驚いただろう、というように、笑う表情で]