……わかってる、さ。
けど。
因果律の不自然な『歪み』を正すのは、俺の『仕事』だ。
こればっかりは、他の誰かに任すわけには、いかない。
[ぽつり、呟いて、温かいワインを一口、啜る。
温かさが、じんわりと染みとおるよな気がした。
そしてこの返事に、アーデルハイドの眉が僅か、下がる]
「……まあねぇ。
因果律の不自然な『歪み』から生じる魔を払って封印する、なんて。
ちょっとやそっとでできるものじゃないのは、わかるけど……。
どうして、そう、一人でやろうとするのかしらね、アンタは。
クラウスだって、そんなやり方はしてなかったし、教えてもいなかったんじゃないの?」
……そう、だけど……。
[養父の名前に、僅かに天鵞絨が陰る。白もふが、みゅん、と案ずるように鳴いた]