>>1329
[心配を肯定されて青年の口元に淡く笑みが戻る。喜んではいけないのだろうけれど、夢は現よりも心を表すもの。
温かな雫を拭い、もう片方の頬の雫も拭う。零れる限り幾度でも]
私の『願い』は――…いいのです。
剣で叶えるべきものではないと判りましたから。
[響きに頷く姿に嘘はない。ただ申し訳なさが眼差しに過ぎる]
ニ振りを手に入れる事は出来たのですが、一つにするには…力足りませんでした。
貴女の『願い』を叶えるのを手伝うと、約束したのに。
――…貴女の心に剣を、渡してあげたかったのに。
[彼女の『願い』をどこまで知っていたのか、瞼を伏せて呟く青年の声は静かに夢の闇に沈んでいく]