『これ、動画で撮ろっ!!』
魔力たんねーよ!!
……ああ、ちょうどいい!!
[そこにたまたま通りかかったのは誰だっただろうか。ハインリヒもシチも慌てていたのでよくは覚えていなかった……失礼な話だ。]
ちょ、魔力貸してくれねーか!?
[言うや否や相手の片手を握り、空いている片手に琥珀を構えてぶつぶつと詠唱を続ける。どうやら手を握った相手は魔力を貸してくれるらしい―それもかなりの量だ。]
『ピント、ピントあわせて!!』
見えるものは一つだけでいい、他に構うな遠ざけろ、ただ一つだけを見てろって、ええい……!!
[呪文の文句に普段使いなれぬ単語を必要とするから、撮影に魔力を回す余裕はない。相当な魔力を貸してもらっているからコントロールに全集中できるか。]