[終わりに、と、応じて、隻眼を鋭く向けたまま口の端上げる青年に、ぺろりと、唇を舐める。低く身を沈めて隙を窺う様子と合わせれば、その仕草はどこか獣じみて見えたかもしれない]
ヒュッ!
[動き出す瞬間、その唇から漏れたのは気合いではなく、短く吐いた息の音。足を運ぶ事の出来る限界まで身を屈め、一息に盾を構える青年の前まで間を詰めると、先刻とは逆に、右手の剣を右下から、掬い上げる動きで斬り上げ…ると見せて、肘を曲げ、その肘の勢いで構えられた盾を跳ね上げようとする]
[同時に背後に隠した左の剣を僅かにタイミングずらして左から胴を薙ぐ位置に振った。盾を狙う右肘を躱されれば、この二の太刀は届かない…が、その後の事は考えていなかった]