>>1340,>>1341
[抱いた体は、夢の中でもあたたかい。体の力が溶けてゆく。]
[アーベルの手が背に触れるのに、僅か身じろいで。
それでも体は逃げずに、頬もまた。]
ほんとうに
[優しい声にほほえむ。
肌の上を伝う手。それが刻印の上に止まり、微か、喉が鳴った。]
わたしも、嬉しかった。
――今も、とても嬉しいです。
アーベル殿と、こうやって、話ができて。
アーベル殿が、そうやって、言ってくれるから。
[視線は絡まりあい、紫紺の瞳の奥をのぞく。
心の奥底までのぞかれても構わないというように、翠に紫紺がうつる。
まわした手に、そっと力が入った。]