エステル、先生…
[彼女は自分の顔を見て、よく来てくれたわね、と微笑んで迎えてくれた。
その顔を見ると、余計に申し訳なくて。
腕の中の白猫が案じるように、にゃあ、と鳴く声にも、何も言う事は出来なくて。
彼女の方を見ることも出来ず顔を伏せていたら、髪を撫でる手に気付き。
その温かさに、涙が零れた。]
ごめん、なさい。
私、ゼルを、しなせてしま、った。
わたしが、いわなきゃ、ゼルは。
[言いかけた自分の言葉を、遮ったのはエステルの声。
ゼルが選択したことだと。だから、誰のせいでもないと。
そう言われれば、また、涙が溢れて。
そんな自分を、ただ彼女はそっと撫でてくれた。
泣きやむまで、ずっと。]