>>1347[彼女が言葉を発する度に、触れる右の手に喉の震えが伝わった。背に回された手に彼女が力を入れて、柔らかな温もりを青年は受け止める。覗き込まれた瞳は紫紺の奥に赤紫が揺れたけれど、覗かずともわかっていると翠の瞳に微笑みかけた]――…オティーリエに逢えてよかった。[出逢えた事と、夢で逢えた事と、二重の意味を込めて声を紡ぐ。そして背に流れる長い黒髪を優しく梳いてから、軽く指に絡めて引いた。耳元に唇を寄せて囁く]………また、いつか。逢ってくれますか?