[機動の逸れた刃は尚も止まらず、黒の焔は大気を焼いて走る。 避けようとも追って来る事は知れて、立ち上がぬ身体ならばと片膝を突いて、右手を柄に、左手を刃の背に。縦に構えた刀で、受ける。 勢いに押されて、支える足の爪先が土を抉る。 持ち主の意志を体現する刀は、黒に押し切られはせず、拮抗するも、ぶつかり合う刃の生む熱が、纏う黒い焔が、手を焼く。] ――鎮魂(たましずめ)! [名を呼ぶ声に、どくりと伝わる脈動。]