[交わされる言葉、その意味は知る由もなく、知る気もなく。ただ、思い出したのは、兄の事]―回想―……長期の、仕事?[深夜、年下の子供たちが眠りに就いた後。住処にしているビルの屋上に呼び出した兄は、ごく何気ない口調で、長期の仕事に行く、と告げた]いいけど……兄貴、なんだか……。[様子がおかしい、と。何がどう、とはっきりは言えないものの、そんな気がしてならなかった。その不安が表に出たのか。兄は、苦笑めいた笑みを浮かべる]