>>1379
[――そして、青年が再び独り立つのは夢の砂漠。
抱きしめた温もりは夢よりも儚く、砂のように零れていくけれど]
……忘れません、オティーリエ。
同じ記憶を持って逢えはしないとしても。
[切れた鎖が揺れる銀の腕輪に、唇を寄せて囁く。
青年の記録は『天秤を揺らすモノ』の重要な資料として、幽閉と言う名の下に機密として保護されると虹竜王は告げた。青年の記録全てを他が引き受けるには何が些細で何が重要かの分類は難しいから、全て封じられはしない。けれど、再びを防ぐ為に禁術の一部などは他の秘なる書へと移し消されるだろう。
それでも、この胸にある気持ちは変わる事は無いと青年は想う]
[未だ眠りの中にある半竜の青年。
その腕輪に連なる指輪は消え、銀の鎖だけが静かに*光を弾いた*]