─ 今は一人きりの新居 ─[脱ぎ散らかされた衣類。洗われもしない食器。床に転がる酒の空き瓶。ソファーにはだらしない姿の男が一人。ふわり吹くのは一陣の風。]…忘れないで、とも…忘れてとも言えないわ。けど、アナタは…ちゃんと生きてね。[起き上がった男の目には、声の主の姿は見えず。ただ、遠ざかる気配を追って消えるのは…幼い子供のたのしげな笑い声。…それ以外は、何も残さぬまま。*]