─ 墓地 ─
…そっか、おばあちゃんが
―――…ミハエル君は知らなかったんだよね
[弟が早世していると云う事実は村で生まれ育った者なら知っていることで。
余り接点が無い少年が知らぬのは当たり前の事だから。
下がる眉尻を察すると娘は彼の肩に手を置いて頸を横に振った。
その横顔に浮かべた物は何処か物憂げにも取れる事か。]
…あれから10年にもなるのかな…
―――…危険だと云われていた雑木林の中を進んでた時、
弟の脚が遅いから置いていってしまったのだよ
[少年から訊ねられれば、ぽつりぽつりと娘は語り出す。
幼いころに犯した罪は今も根強く娘に息づいている様で。]
あの時見捨てないで弟の手を引いて上げられれば良かったんだ
そうしたら、きっともっと違ってた