それは聞けないね。[笑いに対する答えは淡々と]俺にとっては、君の抱えている存在、それ自体を認められないから。[言いつつ、左目の上から流れた紅を、少し乱暴に拭う。思っていたよりも深かったのか、流れは中々留まらない]『……視覚は、捨てるか』[そんな考えを巡らせつつ、息を整え。着地直後の不安定な足元を掬おうと、放つは三日月型の薄い風。それを追うように、自身も駆けて]